老頭児六十六

ちょっと辛気くさいかも。

「老年」と「名人」のあいだに

中島敦の作品に「名人伝」という短編がある。趙の国の紀昌という男が、厳しく長い修行の末に弓の名人になるお話。名人といってもそんじょそこらの名人ではなく、弓矢無しでモノを射ることができ、空飛ぶ鳥も彼の家の上は迂回して通るくらいの名人になってしまった紀昌。 -以下ネタバレあり-

青空文庫にリンクhttps://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card621.html

ついには、紀昌は弓矢が何のための道具かも名は何というかも忘れてしまう。
若年の頃読んだときは「自分も斯くありたいものだ」と感嘆したのを覚えているが、今回読み直して思うのは、もしかして紀昌さん、あなたは認知症を…?